こんにちは、作編曲家のながしまけいじ(@nicorof_jp )です。
今回は機能和声について深掘りをしていきたいと思います。
機能和声は音楽をシステマチックに捉える事で、だれでも簡単に作曲できると考えられたものです。
機能そのものについては以前、説明した記事がありますのでこちら をご参照ください。
復習のために参考となる図を改めて掲載させていただきます。
ドを中心としてある音へ進むと、倍音の特性により安定して聞こえるという性質を利用しています。
さらに単音を鳴らした際にメジャーコードの響きが倍音に含まれているため、下図のような響き(コード)となりました。
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前回 、調性音楽は同じ調号でメジャーとマイナーを表現できるとお伝えしました。
メジャーと同じ方法でマイナーにあたる部分に注目していきましょう!
調号(♯や♭)がつかない場合、
メジャーキーはC(ド)が主音(トニック)
マイナーキーはA(ラ)が主音(トニック)
となりましたね。
メジャーキーC(ド)の動きを倍音の響き(メジャーコード)とともに表した表が下記の様になります。
※譜面とは動く方向が逆にはなってますが、推進力のある音は同じになってます(C△はF△に向かっていますね)
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次にマイナーキーA(ラ)を中心とした倍音について考察していきたいと思います。
考え方はC(ド)でやった事と同じになりますので次の観点から考えていきましょう!
ラを中心とした
①ラが進むと落ち着く音は何か?
②ラに進むと落ち着く音は何か?
そうするとこのような動きになります。
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ここで疑問に思われた方、するどい!w
A(ラ)を中心とした機能の中にドレミファソラシドからずれている音があります。
倍音成分からメジャーの響きを加えたことによりズレ が生じてしまっているのです。
今回は調号が付かないキーでやっているので見分けるのが簡単ですw
ズレ の部分は表の『長3度』にあるdo#,fa#,so#となります。
『ド』と『ファ』と『ソ』がそれぞれ半音上がった(♯シャープ)したものが『ラ』を中心とした機能に含まれているのです。
『ド』と『ファ』と『ソ』
これって調号(♯や♭)がつかないメジャースケール『ド』を中心とした機能で使われた音とまったく同じですよね!
『ラ』を中心とした機能を無理矢理『ド』のメジャースケールに組み込んだ結果
マイナコードが誕生したのです。
これはブログ『メジャーとマイナーの響きとは?』 でもお伝えしたような現象が起きているのです。
言葉では説明しずらいのでイラストを使ってみます。
重複しますがさきほどのA(ラ)を中心とした機能的な動きの表をもう一度みてみましょう。
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『ド』のメジャスケールに影響を受けるとどうなるかを見てみます。
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矢印の部分がドのメジャースケールの影響を受けている場所です。
それぞれ同一機能のルートであることがご理解いただけると思います。
※トニック(T)の場合メジャースケールの『ド』が影響しています。
結果的に長3度の音が半音下がった音になりマイナーコードの響きが誕生したのです!
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A(ラ)を中心としたマイナースケールの機能全体で見てみると、この様な現象が起きています。
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さらにメジャーとマイナーを同一機能で並べるとこのような関係性が見て取れると思います。
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上段がメジャースケールの機能、下段が上段から影響を受けたマイナースケールの機能を表していることがご理解いただけるかと思います。
実はこの表、皆さんどこかでお目にしたことある五度圏(circle of fifths)とまったく同じ関係性なんです!
何気なくみてたあの表も、紐解いていくとこれまでお伝えした要素が含まれているんですね。
最後に、
機能和声はこれからの関係をうまく利用して、システマチックに作曲をするのにとても優れています。
これらはダイアトニックスケールから派生した、『ダイアトニックコード』とも言われています。
このトニックを中心とした推進力(機能)を利用して手軽に作曲を始めてみてはいかがでしょうか?
次回はこれらの関係性をさらに拡大して、12音すべてを機能的に割り振る方法を取り扱っていきたいと思います。
お楽しみに!